「はじめまして」のゾーリヤさんに反応して、改めまして「あきらごとう」です。
以下、とある冊子に書いた原稿を引用します。ご一読いただけたらと思います。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「スローな好循環 ゆっくり村で愉快に生きる」
あきらごとう
「食っていくのは大変だ」「現実は厳しい」そんなセリフをつぶやきながら大量生産大量消費と「食うか食われるか」の論理に基づいた経済や社会に巻き込まれ、酒の席で愚痴りながら年を重ねていくのは「嫌だなぁ」という想いが昔からあった。「しょうがない」という諦めや「食っていくために」という妥協が時として自分が「嫌だなぁ」と感じてしまう経済や社会、文化を支えてしまっている。負の連鎖。
「生きるってそんなことなの?」「もっと愉しくて良いんじゃないの?」「もっと他の可能性はないのかね?」そんなことを考えながら、時に妥協をしながら、いろいろなことを模索してきた。

修士論文の研究対象としてナマケモノ倶楽部に近づき、「ナマケモノ獲りがナマケモノになった」。そこで出会った人たちの発想、実践、意識、人柄どれも魅力的だった。「スロー」をキーワードに文化のムーブメントが起こり始めていて、いろいろなつながりが生まれた。けれども、その領域で「食っていく」ことはまだまだ難しかった。
「食っていく」ために某農業系の出版社に入り、日本全国の農山村を営業と情報収集で駆け回った。2年弱で南は鹿児島から北は秋田まで220以上の旧村を訪れ、5000人以上の農家に遭遇。「豊かさの源泉は農山村にあり」と強く思うようになった。

これからの世の中、もっとワカモノ・バカモノ・ヨソモノが農山村に入り込み、半農半X的なライフスタイルを実践していくことが必要だと心底思った。そう自分のHPで表現した瞬間、「じゃあ自分がまずやってみろよ!」と思ってしまった。それがすぐには出来ない自分がもどかしかった。
そんな折、ウインドファームの中村隆市さんから突然電話があり「うちで働く気はあるかね?給料安いけど、赤村でカフェを運営したり、ウーファーを受け入れるプログラムを創ったり、時にはコーヒーの営業もしたり、いろいろなことを一緒にしない?」と誘いを受けた。良い流れが来た。
そして僕は今、福岡県田川郡赤村に住み愉快に生きている。どん詰まりのいわゆる限界集落に空き家を借りた。井戸水、薪を使った五右衛門風呂とカマド、ぼっとん汲み取り便所、昔ながらの土間の台所、雨水利用タンク。TV、冷蔵庫、エアコンなしのシンプルな生活。家のすぐ前は日当たり良好な畑。自給野菜を不耕起無施肥の自然農的なやり方で育てている。集落で田んぼを2枚借りて赤米とうるち米も育てている。

基本の生活コストが掛からないこと、いのちをつなぐ食べものは田畑で育ってくれるし、周囲の農家からお裾分けももらえる。今思うことは、「このスタイルなら食っていくのは簡単だ」ということ。

もちろん「結婚して子どもが出来たらどうなる?」という疑問は自分の中にもある。けれども、ま、それは次の課題&ステップということ。
愉快に生きながら、日々限界集落にてPCとにらめっこする時間が多い。ウインドファームのコーヒー営業や情報発信、スローカフェ・クリキンディの経営&運営、スロービジネスカンパニーの事務局&理事業務、そしてゆっくり村プロジェクトの企画&運営などに携わっている。
どれもこれも、僕にとっては大切なスロービジネスだ。すればするほど世の中、経済、文化、人間関係が本当の意味で豊かになっていく仕事。負の連鎖ではなく、好循環。この好循環は多様なスロームーブメントが展開されることで、お互いを補い合いながら充実してきていると思う。
僕はスローなライフ(いのち・暮らし・人生)の好循環を「衰退」が叫ばれる農山村で作り出したい。視点を変えれば、農山村は自然の恵み、生きる知恵、ライフの快楽の宝庫だ。負の連鎖の中で生き苦しさを押し殺しているワカモノ・バカモノ・ヨソモノが「ヴェ?そんなライフスタイルや働き方、人々のつながり方もアリなの?」と思ってしまうような空間。「生きる知恵」や「スロービジネス」、「ライフの快楽」を感じ取り、学び、実践できるような仕掛け。ゆっくり村プロジェクトを通してそういったことを展開していけたらと思っている。
現在、ゆっくり村に「編人堂」という屋号で藁雑履を手づくりしている岡本卓憲さんが住んでいる。「七島藺(しちとうい)」という素材や鼻緒文化などに惚れ込み、足型を1足1足取りながら古布、麻、廃タイヤなどを活用しスローに物づくりを営んでいる。彼のような存在が今後ゆっくり村住人として増えてくると面白い。

ゆっくり村として出来ているのは、田植えや稲刈りなど農作業や暮らしの体験イベントプログラムの実施、暮らしを丸ごと体験できるウーフシステムの提供、住人が愉快に暮らすこと。

まだまだ始まったばかりのゆっくり村計画。今後は、「赤村で土地を確保して皆でエコハウスを建てたいねぇ」「地域にあるものを掘り起こしていく地元学を丁寧にやってみたいなぁ」「農山村生活博物館として、農山村の暮らしから学びのプログラムを創れたら良いね」「プログラムが充実してくれば、それ自体がスロービジネスになるかもね」なんてことに想いをめぐらせている。

「毎日シンプルだけども旬の美味しいものを食べて、友と語り、作物を育て、モノづくりをして、音を奏で、共に学び成長し、安らかに眠る。そんな「ゆっくり村」があっても良いな。問題ではなく答えを生きる。」