森を守り育てるキノコ
赤村に数軒あるキノコ農家のひとつ、小林慧さんのところを訪れた。
小林さんとは「赤村の地域と農業を考える会」という集まりでよく顔を合わせる。
「一度、キノコの現場を見に来たら良い」と言ってくれていたので、同僚らと計3人で訪問することに。
前の仕事の関係でキノコ農家にはソコソコ会って来たつもりだった。
が、今回の訪問と出会いはキノコに対する認識を大きく変えるものになった。
キノコを育てることは、山とつながっていて、キノコを媒体にして森や森が維持されているのだ。
シイタケの菌を打ち込む原木と呼ばれる直径10センチ程度縲怩フ丸太があるのだがそれらは山があり、木々を植えて育ててきた歴史の上に成り立っている。
「あの辺の椚(くぬぎ)は後8年もすれば切り出せるね」と。
伐採した木から新芽が出て、また原木に育っていく。

小林さんが原木を育てている山
手前は新芽が伸びてきた椚、奥の背の高いのはそろそろ切り時の椚。
その自然のサイクルの中でキノコ栽培がなされている。
大体、11月に原木を切り出し、1年以上置いておき、2月頃にキノコの菌を打ち込む。
菌糸が原木全体に回るまでさらに1年半ぐらい掛かる。
それからは、時期になればキノコが生えてきてくれる。
ホダ木(殖菌した原木)の寿命はだいたい3~4年ほどだという。

切り出された原木は1年以上寝かせる。

寝かせた後に、シイタケ菌を打ち込む。
菌糸がジワリジワリと木の中で繁殖する。
その菌から出てきたシイタケを美味しくいただく。
「ま縲鰀3年なんてあっと言う間だよ」と小林さん。
「そうそう、5年ぐらいかけて、自分で家を建てたらどうだ?材木はオレのところの山の木を使って良いぞ」と。

シイタケは日陰を好む。
中心にあるのは落葉樹、外側にあるのは針葉樹。
これで、自然と日陰が作られることになるデザイン空間。
山や森、そしてキノコと付き合っている人の時間感覚というのは多分こんな感じなんだろうなぁ。小林さんはしっかりと自然と向き合いながら、そのペースに歩調を合わせて仕事をしている人だ。
「原木栽培」と銘打っているキノコは時々見かけるが、山の手入れ、森の手入れとつながっているとは知らなかった。原木栽培も場合によっては、原木を仕入れてきて、殖菌するらしい。小林さんのように自分から原木を用意するスタイルは昔は当然だったのだろうが、今では徐々に担い手がいなくなってきている。
山を見ながら、「キノコを育てることで森や山に人の手が入り、自然が維持されるんですよ。キノコを食べることで、山や森が守り育っていく。そんなことを想像しながら食べて欲しいなぁ」と。
熱心にキノコの解説をしてくれる小林さん。

赤村で直売所で他の人のキノコは1パック大体130円程度。小林さんのキノコは200円ぐらい。
そこに、森や山を維持している誇りと付加価値がある気がする。
作業手伝いも兼ねて伺ったのだが、いろいろ案内してくれて話も聞かせてもらった。
時間ばかり取ってしまってと恐縮していたが、「イヤイヤ良い交流が出来ましたよ。また、来て下さい。焼酎も飲もうや。ガッハッハ縲怐vと言ってくれる。
農村丸ごと博物館計画の第二弾として3月半ば頃に「森を守り育てるキノコ体感WS」でも企画しようかと思っている。
興味のある人は、一緒に山に入りましょう。















